2008-07-31

ランディ・パウシュの「最後の授業」

Youtube:ランディ・パウシュの「最後の授業」2

バーチャルリアリティの研究で知られる、カーネギーメロン大学のランディ・パウシュ教授が、大学恒例の「最後の授業」と題した講演にあたり、直前に肝臓ガンで余命3〜6カ月と宣告され、『子供のころからの夢を本当に実現するために』というテーマで語った講義が話題を呼んでいる。

ランディ・パウシュという人物について、実は私は知らない。先になくなった記事が目にとまり、それでこの講義録を見てみようと思ったのだった。だからほんとうにこの講義に参加された方たちよりも、ずっと生よりも死の印象が強い状態で、講義を聴いたことになる。

このように死ぬとわかっていたり、ほんとうに死んでしまった人の「最後の授業」として聴くと、そのひと言ひと言が心にしみる。この人が最後に言おうとしたこと、そして言外にも、そこに含まれているものを聴こうとする。

そのようにして彼の話を聴いていて、いったい彼と同じ46歳の大人のうちの何人が、死を宣告されて、これだけの人々を前に、これだけの話を語ることができるだろうか、と思った。

彼にそれができたのには、ひとつには、彼の業績とは関係ないと言える。だって明かに彼の業績に匹敵するすべての人がこのような講演ができるとは限らないし、そうしようと思うとは限らないからだ。そのような人格(キャラクター)の持ち主が、サイエンティストであるということに改めて注目したい。

その一方で、この実現には、やはり彼の業績というものが関係している。だってそもそも、すべての人にこのように多くの人の集まる講演の機会があるとは限らないもの。それはやはり、彼の業績を慕ってのことだと思うから。

そこで突然話が飛ぶようだけれども──しかし、どうだろう。町内のおじいさんが、どうも老い先短いらしいと一念発起して、ほんの数名を相手にでも、自分の伝えたいことを語る機会があったら、もし、そんなことがあったら、それは素晴らしいことではないだろうか。そういうキャラクター──あるいは意志と言うべきかもしれないが──さえあれば、それが小規模であるかどうかはささいな問題であるに違いない。

実際、サイエンティストのなかには、このように偉大な意志を持った人がいて、ときどき出逢うことがある。サイエンティストというキャリアと並行して走っている、科学者の人生というものについて、改めて考えさせられる。

"Tuesdays with Morrie" by Mitch Albom
関連して思いだした本。英語も平易で読みやすいです。

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