2009-03-31

はこだてが今、宇宙ですごいらしい。


昨日アメリカから来ている科学者の方に、いやあこれは絶対面白いから、とおしえてもらったサイト。日本のサイトなんです。日本の、どころか、「函館」という町を5カ国語で世界に発信しようという動画サイト。

はこだてCM放送局〜HakoTube〜
http://www.omoide.tv/hakotube/


これを見ながら「いやー、しろうとが安く動画を撮れるようになったよねー(なぜか「トニー」の口調で書いてしまう私……実際とは異なります。)」というから、とんでもない、これは日本映画の伝統を思わせるようであってクロウトに違いない、などと答えたのでしたが、サイトをよく見て制作者のリンクを辿ったら……失礼しました、こういう方々でした。

映像制作:8mmフィルム工房
http://www.omoide.tv/


動画が実写のよさと、アニメのメカ回しのおもしろさと両方ありなんです。でもって音楽はかなりクラシック、で言葉的なところもすみずみまですばらしい。(またロードムービーがお好きな方、泣けます)

広告的に基本的な点として、そもそも、町おこし・村おこし的な訴求について、少ないリソースを劇的に転換、地味な天然リソースをそのままという画期的なメソッドを提示してくれているのがとっても貴重。

思い起こしてみてください──少ないリソースを、中途半端に変換(菊人形とかね、かぶり物でいきいきと動かすことができないキャラクターとか)、地味な天然資源(たとえば温泉)を飾り立て……というほうがずっと多いなか。

というわけで快挙なムービー、こころにしみいる面白さです。

2009-03-29

Quantum mechanics was easy to use, but hard to understand.

アトムの息子は──あ、今回はロボットの話じゃありません──相対論と量子論であるという、この2つの体系についてのコンパクトなサマリが「The New York Times」にアップされています。

Sunday Book Review
Sons of Atom
Published: March 26, 2009


これはブックレビューなのですが、その本のタイトル「The Age of Entanglement: When Quantum Physics Was Reborn」
を見ると、本のほうは、この解説の「その先」が書いてあるように思えます。(今、目次をざっと見ることができたのですが、この記事とほぼ同じ分量で、大半のページは1960sまでの記述のようです)

そこでもう一度この記事のほうへ戻ると、実は2006年に共著で書いた『ようこそ量子』をとても思い出させるものがありました。日本では現代物理学の二大潮流としての相対論と量子論があり、なんか素粒子物理学というのは別に、あるいはそれらの上位にあるような感じを受けます(私だけかもしれません)。けれども英語圏では相対論と「量子力学」がセットで、ちょうどこんな感じに語られることが多いように思います。その意味では『ようこそ量子』の説明は、かなりスタンダードだということを改めて感じました。

科学の場合、知識が一般化すればするほどスタンダードになっていって、専門家の考えが誰から聞いてもそっくりなことになっていくという状況があり、特に英語圏では顕著であるように思います。ひとつひとつのアイテムについて、話す相手と分量が決まれば、おのずと内容が決まってくる──知識がこのような構造をしていると、きっと教育がしやすいというメリットがあるでしょう。

たとえば「江戸時代」についてコンパクトなサマリを、というごくカンタンな設問でもなんだかすごく意見が分かれそうな気がしませんか? 徳川家康から始まって15代の将軍を追うものや、「改革」を追うもの、歌舞伎にフォーカスして、なんてユニークなのもでてくるやもしれません。……そこで先生がよろこぶ、とか、絶対点がとれる、とかいうんでなくて、知識のある人の誰もが「正しい」と思える答えが練られていると、勉強しやすいように思います。

ま、そんな事より先に、私の英語をなんとかしろよ、なんですが。

2009-03-28

ご担当者が「タッチ!」に来てくれました

ベストプロポーションのさやえんどう
先日投稿した「カイタッチ・プロジェクト」にタッチ! という記事に、ご担当者がコメントを寄せてくださいました。よかったらコメント欄(記事文末のcommentという文字)をクリックしてみてください。

ネット上のいろいろなココロミは、ざっくりした話で恐縮ですが、「自動化」の流れで、実際そっちが成功していると思います。けれども何か特定のものを提供しようという時には、やはり「手をかけることが王道」なのではないでしょうか。

そういう意味でも企画に賛同し、また実際「KAI」ユーザでも(長年!)あった、というわけで記事を書いた次第です。

いやあ、「タッチ!」ィな体験でございました。

みなさんも暮らしの中の「タッチ!」、見つけてみては?

2009-03-27

週刊リョーシカ第2週:量子と書いてなんと読む?

第2週:量子と書いてなんと読む?
http://www.famipro.com/ryosika2_002.html

2009-03-27掲載



理論物理学者の根本香絵博士とのウェブでのコラボレーション『週刊リョーシカ!』PART2が、早くも第二週を迎えました。よろしかったらご覧ください。

さて『週刊リョーシカ!』のサイトはRSSに対応していないため、今号より、新しい記事がアップされた際には、本ブログに更新しましたという話題を掲載いたしますので、どうぞご活用ください。RSSのurlは、右コラムに記載しておりますので、ご参照ください。

なおこれまで「RYOSIKA UPDATE NEWS」をご覧いただいていた方には、恐れ入りますが「RYOSIKA UPDATE NEWS」のほうは休載といたします。この「科学と広告のブログ」でまとめて見られるようにしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

2009-03-26

『ロボットのおへそ』がなか見検索に対応

ロボットのおへそamazon
『ロボットのおへそ』稲邑哲也 瀬名秀明 池谷瑠絵 著(丸善)が、なか見検索できるようになりました。

内容の一部はこちらの丸善サイトにも掲載されています。
http://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/view/9784621053775.html
 

2009-03-25

「カイタッチ・プロジェクト」にタッチ!

カイタッチ・プロジェクト画面

RSSというのは便利なようで、結局溜めに溜めてしまって、どさーっと読む羽目になったりして、ということが少なくないのですが、みなさまいかがですか?

そういうわけで、「インターネットのひみつ」をというブログを、どれも参考になる記事であるにかかわらず、溜まっているためにハイライト読みすることになった。すると、これがまた、今までとはずいぶん違うタイトルが並んでいることに気がついた。企業の方がウェブの中でどのように自分の企業のファンを作っていくかについて、いろんな戦略を展開する、そのさまざまなアイデアが、競うように咲き揃ってきている──もしかすると、これからしばらくがインターネット広告が一番面白い時なのかもしれない、という印象を持ちました。この実験期間を担っているのは、誰だろう? と考えると、たぶん自分より2世代ぐらい後のような気がするんだけど……気のせいかもしれません。

1
ウェブは、もうひとつの現実として、ウェブの中で完結した存在でなければならない。(いくら有名な企業でも、ウェブの中に十分な情報がなければ、ウェブの中では情報過疎な企業になってしまう。)

2
企業としては間違いのない情報だけを発信したいと考えるだろうが、ウェブでは情報を排他できない。常に開かれた存在となってしまう。

1と2を前にじゃあどうするか。そこでまずは企業の発信情報をCMSで組織化しよう、つぎにゲリラ的なアイデアで話題性&好感度を狙おう、という戦略が生まれてきたんじゃないかなあ、などと思う次第。

「インターネットのひみつ」で採り上げられている、そんないろいろな施策をみていて、とても印象的だったのがこの「カイタッチ・プロジェクト」。貝印の「KAI」というロゴの入った商品、ウチにもいっぱいあります。まず爪切りでしょ、毛抜き、カミソリ、小さなハサミ、たしか魚の骨抜きもそうだったような。同じ商品が複数のメーカー選べる時は、貝印を目印にしていることもありますよ。

ウチにある貝印の商品
ピンクのは部分剃り用カミソリ。ちょっとレア物では?(笑)

で、このように貝印について何かブログ等に書くとご担当者がコメントを書きにいらしてくれるのだそうです。(本当かな?)

2009-03-23

岩波ブックレットが新しくなっていた

岩波ブックレットと聞くと、戦争を振り返るものや憲法に関する議論などの社会的なテーマのものが多く、表紙を飾るのもモノクロの写真で……という印象が強かったのだが、そのシリーズの装丁ががらりと変わっていました。

データブック 人口
西川 潤
岩波ブックレット

amazonへ

買ってみると、この本自体は、過去のブックレットを改訂したものだそうだが、たとえばこの本の場合なら80ページという分量に、ある程度の図版をのせつつ、あるまとまった量の広く大きなテーマをまとめようという意欲は、何かにつながる。何かというのは、啓蒙というだけでなく、そういうまとめる力のようなものを継続発展させることにもなるのではないでしょうか。

ジャンルごとに色わけされていて、店頭では同色のオビがついています。

2009-03-20

マトしき週刊リョーシカ!START


いよいよ『マトしき 週刊リョーシカ』を連載開始いたしました。

第1週:「リョーシ」を漢字で書くと?
http://www.famipro.com/ryosika2_001.html

2009-03-20掲載

アンケートも引き続き実施中!
「週刊リョーシカ!」アンケート2009について
http://www.famipro.com/survey.html


●週刊リョーシカ!とは?
ふしぎな科学「量子」を楽しむウェブサイトとして2007年10月26日にスタートした週刊コンテンツ。マトリョーシカにそっくりな理論物理学者・根本香絵博士が、リョーシ猫(池谷瑠絵)の素朴なギモンにお答えします。
2007-8の『週刊リョーシカ!』はこちらから

●その他のスペシャルコンテンツ
量子や物理学以外のコンテンツとして、「マトリョーシカ」を盛り上げるコンテンツも充実。「週刊リョーシカ!」ならではのマトリョーシカ読み物もお楽しみください。
「ほんとうのマトリョーシカ。」はこちらから

マトリョーシカの意外な歴史を訪ねたら、今度はロシア発、西ヨーロッパでブレイクしたフィルムカメラ「Lomography」のスペシャルコンテンツもどうぞ。
LOMOgraphy Fisheye2 トラブルシューティングと活用ガイドはこちらから

ぜひご覧ください!

2009-03-19

wiki がつながらない?

この二日ぐらい、wikiがつながらない(英語も日本語も)のですが、ニュースには出ていないし、(おかげでシャトルの打ち上げ映像を何度も見てしまった!)どうかしたのでしょうか? ちょっと心配。

2009-03-17

ネットで買える、根本香絵著『量子力学の考え方』

理論物理学者で量子情報・計算、量子力学が専門の根本香絵博士(国立情報学研究所准教授)が書いた 『量子力学の考え方──物理で読み解く量子情報の基礎──』という書物
(SGC-68 サイエンス社・1,920円)が1月に発売されました。(ちょっと古いですが)

関連記事を下記にアップしましたので、量子力学に興味のある方、ぜひご覧ください。
ようこそ量子LAB
FILE:008「量子の物理的なおもしろさに迫る"教科書"が完成!」
http://www.ryosi.com/


研究活動のさなかで、学生にとってどの程度が理解でき、どのあたりが難しいのかを整理しながら、かつ量子力学を学ぶ初歩の段階から、どこを理解することが「重要」なのかを盛り込んだ力作です。また、物理以外の学生が量子力学を学ぶのに最適な入門書ともなっています。(……なんて書くのはほんと簡単なんですが。)

ところで、サイエンス社のSGCシリーズというのは、数理科学という雑誌の別冊なんですね。アマゾンでの取り扱いがなくネットで買えないのでは? と思っていたのですが、bk1で扱っているのを見つけました。

オンライン書店ビーケーワン bk1
臨時別冊・数理科学SGCライブラリ 68
量子力学の考え方
http://www.bk1.jp/product/03094580

※国内送料無料、24時間出荷可能(2009/03/17現在)

もちろん全国有名書店・大学生協でも販売されています。数理・物理・情報系の学生のみなさん、もし書店で見かけたら、ぜひ一度お手にとってご覧ください。

2009-03-13

カード式? いいえインデックス式。

今日は本屋さんへ行って、昔はふつうにやっていた棚をざーーーっつと見る、ということをやった。そしたら、情報量が多いというか、絞り込めないというか、いつもアマゾンを見るときに自分がやっているやり方──比喩的な意味での、人間が行うある種の情報処理──では、太刀打ちできないことがわかった。

朝早くお客さんも少ないので、とにかくタグをつけるように、ひっかかったものはいったん本の背を少し引きだして、あとで戻すようにしてみたら、大混乱からは少し脱した。最終的には、買うべき本が何冊か手元に残り、引きだした本も元に戻って。いやはや、おおげさじゃなく、最初はどうなることかと思った。

なんかやりたいことだけやっていればいい、ということはフォーカスできるようで、よくないこともあるな、と思ってしまった。自分にわからないことが世の中にはあることや、確かに今は知らないけれどもいつか知りたいなとか、行きたいな、と思ったりしていたことが、かつてはあった。そのことを、今日、リアル書店で思い出したわけだ。自分が見ていないもの、 見えていないものが押し寄せてきた、と言ってもよいかと思います。

しかしながら家へ帰ってくるとやっぱりネットの書店も見てしまったりして。というわけでこちら↓は、なかでもとても気になった一冊。

Indexed
Studio
amazonで見る

ブログもあります。
INDEXED
http://thisisindexed.com/

2009-03-06

代々木で、山手線が急停車して……


昨日の夕方、代々木で、なんでも非常停止ボタンが押されたとのことで、山手線が急停車した。私はその山手線に乗っていた一人で、ホームにかなり入ったところで起きたから、さほど急停車ということではなかったのだが、若干ふつうではないブレーキのかかりではあった。

宝塚線の事故以来、つり革や手すりにつかまっているということは大事だという認識が広まったように思う。新しい中央線の車両もつり革を増やしたし、私自身も、なるべくつかまるようにしている。だが、その日の山手線では、たった3駅だということもあり、つり革が高い位置にあったこともあって、まあいいか、ということにしてしまった。

ブレーキがかかってから、つり革を掴むまでに、何とも言えない「間」がありました。反射神経が鈍っているんだなあ。

2009-03-05

リハーサルとテスト。

学生のみなさんは「テスト」と聞けば、そりゃ、この節、筆記試験のことだと思うでしょう。けれども大人の場合はそういうテストを受ける機会はあまり多くはなくて、だいたいにおいて、システムが上手く動くかどうかのチェック、ということを指すのが多いのであります。特に昨今、時期的にシステム入れ替えという方も多いのではないでしょうか。

ところでこの主に情報処理系のテストというのを行うにあたって、理系的訓練の希薄なる者には、ちょっとしたメンタルな障壁があるように思う。

本番前のチェックということならば、音楽で言えば「リハ」である。リハを本番と「同じ」勢いでやるやつはいない。これはあくまでリハであって、いろんなところをチェックするためにあるのだ。大事な気合いは本番のためにとっておくのである。そして本番はまっさらな気持ちで、まるでリハなどなかったかのようにやるのである。

こういう「まっさら」感は、実は生活のいろんなところで体験の機会がある。たとえば新雪、新築の家の板の間、はきおろしの靴。

この蓄積された記憶が、システムのテストをしようというときに、案外首をもたげてくるのである。

システムのチェックは、本番と同じであり、同じであるほどよい。「まずはやってみて」という性質のものである。ところが……

「え、ほんとにやっていいんですか?」
と、すでに気持ちが遅れている。

「やってみるように言われたからやってるんですけどね」
と、なぜか言い訳がついてくる。

「やることがいいことなんですよ、やらないとテストにならないんですから」──そういうわけでやるにはやるのだが、心の底ではどことなく腑に落ちない、そんな人も実は多いような気がする3月なのである。

2009-03-04

3月も「家でやろう。」は、花粉症バージョン?


東京メトロのマナーポスターもこれで区切りかと思うと──感慨深い。いつの間にか撮り貯めていたのだが、ググれば、東京メトロのウェブサイトに、おお、一覧表が載っているではありませんか。

東京メトロ マナーポスター一覧
http://www.tokyometro.jp/anshin/kaiteki/poster/index.html


なあんだ、これで見ればよいわけですね。

ではちょっとディテールを。このポスター、近づいてよく見ると、ラインが円の数珠繋ぎでできているんです。それから塗りのパターンもドットになっていますよね。つまり、全部円で描かれているようです。

「サンヤツ」という新聞の一面下の出版広告スペース

新聞の一面下の出版広告スペースは、特別なワクである。知らなくても、そういえばそうだなあ、よく本の紹介が載っているよなあ、と思う方は多いのではないでしょうか。

あの広告は「サンヤツ」と呼ばれていて、最近は、この画像と、あそこに載っている本が検索できたり、オンラインストアの該当頁へ飛べたりというウェブページがあるようだ。

朝日コム内のページ
http://book.asahi.com/sanyatsu/


新聞で見たものを、またウェブで探して……というのはやや面倒な気もするが、考えてみると縮小版や過去記事アーカイブは広告をはずしているので、見た覚えがあるんだけど、忘れちゃった場合にひきもどる方法が、これまでなかったのである。だからみんなちぎりとっていたと思うけれども、それもなくなっちゃうことだってあるじゃないですか。

というわけで、これは意外に使う日が来るような気がする。雑誌の最新号の特集とかね。なのであります。