2009-03-05

リハーサルとテスト。

学生のみなさんは「テスト」と聞けば、そりゃ、この節、筆記試験のことだと思うでしょう。けれども大人の場合はそういうテストを受ける機会はあまり多くはなくて、だいたいにおいて、システムが上手く動くかどうかのチェック、ということを指すのが多いのであります。特に昨今、時期的にシステム入れ替えという方も多いのではないでしょうか。

ところでこの主に情報処理系のテストというのを行うにあたって、理系的訓練の希薄なる者には、ちょっとしたメンタルな障壁があるように思う。

本番前のチェックということならば、音楽で言えば「リハ」である。リハを本番と「同じ」勢いでやるやつはいない。これはあくまでリハであって、いろんなところをチェックするためにあるのだ。大事な気合いは本番のためにとっておくのである。そして本番はまっさらな気持ちで、まるでリハなどなかったかのようにやるのである。

こういう「まっさら」感は、実は生活のいろんなところで体験の機会がある。たとえば新雪、新築の家の板の間、はきおろしの靴。

この蓄積された記憶が、システムのテストをしようというときに、案外首をもたげてくるのである。

システムのチェックは、本番と同じであり、同じであるほどよい。「まずはやってみて」という性質のものである。ところが……

「え、ほんとにやっていいんですか?」
と、すでに気持ちが遅れている。

「やってみるように言われたからやってるんですけどね」
と、なぜか言い訳がついてくる。

「やることがいいことなんですよ、やらないとテストにならないんですから」──そういうわけでやるにはやるのだが、心の底ではどことなく腑に落ちない、そんな人も実は多いような気がする3月なのである。

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