2008-07-06

情報処理、むかしばなし。



情報処理というと、ふつうはコンピュータを思い浮かべると思う。つまりキカイの中でデータがどう取り扱われて、計算されて、どう答えが出てくるか──という一連の過程が情報(information)を処理する(processing)ということですよね。

情報処理にちなんでその学会「情報処理学会」というものが、1960年に設立されたと、wikiに載っている。それで唐突に思いだしたのだが、私の父はプログラマーで、表紙に「情報処理」と書いてあるその会報誌がかつて、確かに家に郵送されていた。たしか毎月だったと思う。そしてよくあるように、それはただ溜まっていった。ひどいときは袋に入ったままだった。一定期間が過ぎると母がビニールひもで縛って、そのうち物置へ運ぶのだった。要するに、たぶん誰も読んでいなかったんじゃないかと思う。

しかし、その表紙に横書きで書いてある「情報処理」というものに、私は可能性を感じた。「情報処理」なんて言っちゃったら、世の中なんでも「情報処理」じゃん、と私は思ったのだ。「情報処理っていうのはきっと、数学の計算過程みたいなものだけじゃないのよ」と、私は言った。のちに物理学者になった妹がその頃よく読んでいたスヌーピーの漫画の中のルーシーのように。

勉強してテストに備えることそのものだって情報処理だし──そう、情報処理にはかならず「ストレージ(データ保存)」がからんでくる──、母がときどきなんか思いつくのだって情報処理だし、うちの犬──それはスヌーピーと同じビーグル犬で、科学者にちなんで「クーロン」という名前だった──が、人間がおでかけしそうだと判断するのだって、「情報処理」という言い方があるからには、情報処理でないとは言えない。また人によって効率悪そうな情報処理もあれば、少ない手数でかなりいい答えを出す情報処理もあるということにもなるし、聞いている人の反応を見ながら適当に冗談を交えて話せる人なんかは、処理が速くてダブルタスクだよな……等々。

そういう幅広い意味合いで「情報処理」を考えたいと思うわけなのだが、しかしあの大昔の『情報処理』には、いったい何が書いてあったんだろう、と改めて思いもする。以前どこかで読んだ記憶のある「○○についてくさるほど名言を吐いているスーザン・ソンタグ」という言い方を借りれば「情報理論についてくさるほど定義を遺しているクロード・シャノン」のことでも書いてあったのだろうか。

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