2008-07-16

科学のはなしが持つ、ほんとうの輝き。


将来研究者になろうと思っている人は、きっともう気づいていると思うんだけれども、セミナーやレクチャーやワークショップや、つまり科学者本人が自分の考えを話すのを直に聞く機会はたいへん重要で、いいことがいっぱいあるから、逃さない方がいい。

私が科学者によく会うようになった最初のころ、この人たちは忙しいはずなのに、なんて「非効率」なんだろう、と正直、思った。

世の中はビジネス書流行りで、みんな息せき切って、「時間を有効に」するために携帯したり、メールしたり、テレビ会議したり、コピーの裏紙を使うのをやめてみたり、スケジュール帳を工夫したりしているのに、たとえば──というか特に──なんでわざわざカンファランスとか講演だとかなんだかんだで出張するのかな、と。それってメールで済まないの? テレビ会議で済まないの?

「いや、それをしにいくんですよ」と彼らは言った。

そうなのだ。それ、というのはつまり、本人が話すのを聞き、そこで自分が思いつく新しい考えのために、そのようなその貴重な時間のために、地球上の決して小さくはない空間を飛び越えて行くのである。

「メールで済むことは、メールで済ませますよね」

確かに。彼らのことだ、メールで済むならとっくにそうしているはずだった! もとより、彼らはぜんぜんヒマじゃないのである。趣味でわざわざどっかへ行ったりしなし、さらには(おそらく誤解されているのではないかと思うのだけれど)ちょうど商習慣のように、この業界ではそういう習慣だから、という理由でやっているわけでもないのである。

でも、わざわざ本人に会わなければわからないことって何なんだろう?──ところが最近、その時間の持つミラクルが、ほんの少しだけど、私のうえにも降ってきてくれるようになったのである。

そういうわけで、私はこのところ、夫──彼はかなり「ビジネス書実践派」だ──に言っている。なぜ会議中にケータイしなきゃいけないの? なぜメールを即レスするの、1時間、3時間早いって重要? それって「非効率」だよ、と。

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