2008-09-02

マインドマップ「適用」ボタン

本を一冊まるごと入力して──というか原稿のテキストファイルを流し込めばいい──「マインドマップ適用」というボタンをクリックすると、要約が1枚の図解で出力される。

もしそんなソフトがあったとしても、それは自動翻訳に似たものかそれよりあきらかに劣ったものだろう。そのこと自体がどうかというのではなくて、本の編集を考えた時にそういうサマリもあるなと、『ニッポンには対話がない』を読んでいて、思った。

この本は元外交官でフィンランドの教育の日本に紹介した北川達夫氏と劇作家・演出家で演劇を通じた教育の実践も行っている平田オリザ氏の日本の教育現場(小中高〜大学生・新入社員ぐらいまで対象)についての対談である。

対談の本というのは、ネオアカの頃ずいぶん読んだ。どちらかというと莫迦みたいに読み込んだ。今思うと編集されてるんだから、それほど「読む」こともなかったかなと思うのだが。

その反省なのかどういうつもりかわからないが、最近はすごく軽く読むようになった。私の変化というよりは、時代に流されているのかもしれない。

以下、私がハイライトと思うもの。

p27
ヨーロッパの道徳教育では小学1年生から教えている──
「謝ること」と「許すこと」は人間に与えられた最後のチャンスなんだ

p52
演劇を通じた学びの場で──
「ここ、わたしたちみんなでこだわっていたけど意味がなかったね」

p140
「人間であるということ以外に共通点はないと思うくらいのつもりでしゃべらないといけない」
※補足:
・共通点はない(と思え)
・最終局面(魂の奥底)では同じ人間である

こういったことをあとから探しだそうとすると、紙媒体はたいへんなことになる。こんなにパソコンが当たり前になるまでは、本に備わったインデックス機能をデザイン面からも工夫することが多かったが、今思うとかなりクラシックである。というか、私たちがふだんデジタルに使い慣れているようなインデックス機能・検索機能を紙の本に実装するのは無理である。そうじゃなくて、とどのつまり、という別の叡知として「図解で1枚」みたいのを盛り込むといい、と思った。

ついでに──これが目次の代わりになって、amazonなどに表示できるといいなあ。これを見て、実際に読みたい人がテキストを買う。そこでこの図解がたいへんな宣伝塔になるところから、この図解技術が発達して……という魅力的な好循環。しかもこれは言わば手の内であるから、まさに実力勝負である。ここから副次的に、論旨が明確でない著者を淘汰することにもなる。それから著者が「おれはこのくらいのことしか言ってないですよ」という存在表明にもなったりする。(なんでここで突然主語がおれになるのかはちょっと見逃していただいて。)

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