2008-12-04

動物さんが演奏していると考える脳

ズーラシアンブラス園内演奏
ズーラシアンブラスという楽団があるのをご存知でしょうか? これはよこはま動物園ズーラシアという横浜市の内陸部にある動物園のマスコットキャラクター楽団なのですが……そこでああそう、こども向けのアトラクションね、と想像されるようなレベルの演奏力ではなくて、ソリストとして一流の主にクラシックの演奏家を集めて、オカピ、インドライオン、スマトラトラ、ドゥクラングール、マレーバク、ホッキョクグマといったズーラシアの稀少動物として(頭が動物になっている)出演・演奏してもらうという趣向になっている。

現在は首都圏だけでなく地方の音楽ホールでの公演も多く、すっかり動物園から出た感があるズーラシアンブラスだが、園内演奏と言って、ズーラシアンの中の出口ゲート付近にあるイベントスペースでも毎月公演を行っている。

このズーラシアンブラスについては私の音楽ブログ「響けブログ」に書いているので、詳しくはそちらをご覧ください。

で、今回、ちょっと注目したいのは、このズーラシアンブラスの園内演奏におけるこどもたちのリアクションである。

こどもたちはその演奏会に遭遇するまでに、動物園のなんとも長い順路を経てやってくる。いずれのルートでも何らかの動物を複数見てからでなくては、そのイベントスペースへは辿り着かない。入口ゲート付近にいるアジアのインドライオン、スマトラトラ、ドゥクラングール、マレーバクはおそらく見ているはずだし、ズーラシア目玉の稀少動物・オカピはさすがに奥まったところにいるが、以前行った時、さすがに盛況であった。

こどもたちは、そうやって動物を目撃していながら(印象ではかなり大きいこどもまでもれなく)この演奏家たちを動物が演奏している、と思うのである。

さっき見た檻(最近はあまり目立った檻は作らないが)の中にいる動物と、見た目がぜんぜん違うことは、さすがにこどもだって明らかであろう。だからおそらく、彼らはさっさと「見立て」るのである。これはつまり絵本モードの動物さんだというふうに。このすばやさが、改めて考えるとかなり知的に高度な気がする。見ていると時々音楽に長けたこどもが、これはいくらなんでもおかしい、と思い始めて周りの大人に質問を始めるという具合である。だが考えてみればこれも不思議で、動物に音楽的に高度なことができるはずがないと思うのだろうか、それとも人間と同じ感性の音楽を奏でるのがへんだと思うのだろうか。

いやはや。だんだんトホホになってきたので、気になりつつ、また別の機会といたします。

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