2008-12-05

ユニコーンと架空のオカピ

昔ユニコーンという動物を知って、なんと素敵な動物だと思った人は少なくないだろう。手塚治虫の「ユニコ」の影響もきっと大きい。こんなにありありと描かれているものが想像上の動物だと聞いてもなかなか納得しずらく、何らか「秘境」へ行けば、いるような気がしてしまう。その後「龍」というものもそうだと聞いた時も、では「画竜点睛」はどうなるんだろうと思ったり、一方「タツノオトシゴ」というのは実際に映像なんかも見られるところをみるとあっちは実際の生き物なんだ、と思ったりした。(どっちかって言うと、こちらのほうがおもちゃみたいだけど)

全部ではなくても、似たような記憶を持っている方も多いのではないだろうか。

動物図鑑には必ず、絶滅してしまった過去の動物たち、特に鳥類や哺乳類が見開きで紹介されているページがあるものだ。いまはそれほど呑気なことは言っていられなくてRED BOOKではあと2,000匹、3,000羽を割るような個体数(そのうち半数が動物園)といった種がたくさんあって、そのうちどれがすぐに絶滅してしまうかわかったものではない。多くの専門家が指摘しているように個体数がある数以下になってしまうと、元へ戻すのは難しい。

ではどれだけの哺乳類や鳥類がこれまで絶滅してきたのか、というか、現在までは生き延びなかった種で、人類が目撃したものにはどんなものがあったのだろうか、と考えると、これが案外いろんなバリエーションの生き物がいたとも考えられていて、びっくりする。稀少動物で世界三大珍獣の一つであるオカピがよく俗に「しまうまとキリンを足して2で割ったような動物」と言われるが、現代の限られた種類しか知らない私たちにはそんなふうに見えるもののオンパレードだ。

そうなるとどこまでが人間の想像上の動物で、どこまでが元々目撃したものの古い記憶なのかは、意外と判然としにくいもののような気もする。理想の島とか理想の社会とかと違って、今はない動物や鳥たちは、失われたことを記憶のとどめるために、架空に現れたようにも思えるのである。

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