2008-11-08

数学は役に立つ学問でしょうか?

先日、リョーシカの講演会を見学した。その中に、物理を学んでどんなところに役に立つか、という話があった。これはよく「数学」で言われることでもある。「数学を勉強して社会へ出て何か役に立つのでしょうか?」

しかしこういう質問が出るということは、その人には生きていく様々なシーンで、数学が役に立つ場面がひとつも思い浮かばない、ということなのだろうか?

そういえば私が中学か高校の時にも数学の授業で同じ質問が出たことがあった。「みんなはどう思う?」と、先生が質問を教室へ投げ返す。私は、役立つどころか不可欠に決まっている、というようなことを答えたような気がする──「数があるところには数学があり、それを操作するところに数学がある。お金を預ける、利息がつく、全部数の操作じゃない?」と。自分のことなので遠慮なく悪口を言わせてもらえば、活用シーンはいくらでも思いつくが、数学のイメージははなはだ貧相というわけである。ま、「想像力」の点で五十歩百歩と言えよう。

だが当時の生徒たちの言い分は、要するに……数学を勉強するのはこんなにたいへんなのに、そのわりにはやった甲斐があるようには思えないよ、ということだったのだろう。確かにそれなら、ぐっとごもっともである。たとえば、大学を卒業してから「因数分解」が役に立つ場面に遭遇したという人はほとんどいないかもしれないではないか。

しかし数学のように、ある意味「万能」なツールを、社会へ出て使う機会がないということのほうがヘンなのではないか、と考えることもできる。無理に使おうというのではなくて、困っている人が抱えている問題を解決したり、いろんな現象を予測したり、といったことに有効に使うのである。

また物理は──リョーシカの言うように、数学というツールに、リアルな実体をつける。だからいっそう現実に活かせるツールとして活躍する可能性がある。

だがよく考えてみると、いくら活かせるよう準備したとしても、本当に活かせるかどうかは、またしても個々人の想像力にかかっている。一難去ってまた一難である。

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