というわけで、とにかくいろんな記憶が交錯してしまったが、問題は蔵である。
イトイ新聞が報じている蔵が、もうとにかくすばらしく整理され、掃除され、分類され、ラベリングされていて、さらにあとでわからなくなった自分(乱歩自身)のためにラベルの読み方まで書いてあって、と図書館のような蔵なのである。
実はせんだって、ロシア民俗学・歴史文化の坂内先生(一橋大学)の研究室へおじゃましたときも、書棚が圧倒的であり、そこはもう「魔女の館」という名がぴったりだった。その印象を思いだすと、乱歩の蔵へ入ったみなさんの気持ちも、そんな感じだったんじゃないかな、なんて他人事ながらに思うのである。
しかしそれにしても、乱歩の整理ぶりは、異常というと失礼ですが、人間ワザによるこんな完璧な整理の実例を私は見たことはない。逆に言うと、これはひょっとして乱歩の「脳内」なのではないか、と訝ってしまうほどだ。
内容的にも資料としても、よく手が入れられていて貴重なものなんだな、ということを、イトイ新聞は伝えている。
だけどなあ、と私は思ったのだ。これを活用できるのは乱歩さんしかいないなあ、と。なんか、ここまで整理されていながら、同時に「ハイ、ここは迷宮です」と札が立っているような感じもするのだ。
すると不思議なことに、ちょっと乱暴な意見なのですが、整理されているのかいないのかということは、案外重要ではないのかもしれない。活かせる人が現れるかどうか。ずっと解き続ける人が現れるかどうか、にかかっているだけのかもしれない。
見学もできるそうですよ。
旧江戸川乱歩邸ホームページ
http://univ.rikkyo.ac.jp/aboutus/profile/facilities/edogawaranpo/index.html
2008-08-24
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