2009-02-04

『ロボットのおへそ』─なぜ「対談」なのか?

こんばんは。このたび発売になりました『ロボットのおへそ(稲邑哲也・瀬名秀明・池谷瑠絵著、丸善2009)』のご紹介をシリーズで書いております。さて、その第3回目にあたる今日は、この本に含まれる「対談」についてです。

前回は、イナムラ先生と瀬名氏のサイトやブログをご紹介して、瀬名氏のブログが「こたつ」デザインであることもご紹介したのですが、どうもこの「こたつ」、東北ではJRに「こたつ」のある列車が登場したり、宮城県にある駅構内の一角に「こたつ」コーナーが設けられたりと、もしかするとかなりの盛り上がりになっているのかもしれません。

というのも、瀬名ファンの皆様にはご周知のことと思いますが、作家・瀬名秀明氏は仙台に在住され、東北大学機械系特任教授としてもご活躍なのです。というわけで、この本には研究者としてもロボットにとても高い関心をお持ちの瀬名秀明氏と、国立情報学研究所准教授の稲邑哲也氏の対談が収められています。

しかし一般に「対談」というと、読みづらい、あるいは読み心地が悪いものというイメージをお持ちの方もきっといらっしゃるのではないでしょうか?

この対談の役割として、たぶん最も重要なことは、稲邑氏のロボット研究はどんなチャレンジなのかを示していることだと、私は思います。それには、ひとつには、ロボットという研究分野を俯瞰する視座を示すのが有効です。そして、イナムラ先生がどういう興味や関心を抱き、現在のユニークで重要な研究へとつながっていったのか、その内的な動機と研究成果のヒストリーを、瀬名氏が聞き出してくださっています。これらによって、本の中盤で展開される稲邑氏の取り組みや議論が、体験的に理解でき、研究がどんな評価に値するのか見通すこともできる──そうなれば幸いです。

しかしながら、ひとくちに「ロボットという研究分野を俯瞰する」といっても、一朝一夕に得られる視座ではありませんよね。それは長年にわたりロボットを取材してこられた瀬名さんならではのもの。一方、対談の現場では、そんな瀬名氏が「今はじめて知りました!」、またある時は稲邑氏が「へえー、そうだったんですか」というようなネタもいろいろと飛び出したのでした。

[ ロボットのおへそ SPECIAL ]
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