2009-02-08

『ロボットのおへそ』6 フィードフォワードって何だろう?

さて今回の『ロボットのおへそ(稲邑哲也・瀬名秀明・池谷瑠絵著、丸善2009)』紹介は、「フィードフォワード」の話。

「フィードバック」って言葉は、よく使うと思います。現場の声をフィードバックして製品企画につなげて、みたいに使うわけですよね。でも本来的には「フィードバック」の対である「フィードフォワード」のほうは、さほど使用例を見かけません。ちなみにググると、250倍以上の差があるようですよ。(日本語の場合)

[ google.co.jp 検索結果件数 ] ※2009年2月8日現在
フィードバック 18,000,000
フィードフォワード 68,100

[ google.com 検索結果件数 ] ※2009年2月8日現在
feedback 896,000,000
feedforward 1,090,000

「フィードフォワード」の話は、『ロボットのおへそ』の第5章「あいまいさを乗り切れ!」に出てきます。そこで、これは本の中に書いてあるのですが、ある日イナムラ先生は、ある経験から自分はいつもなんて「視覚によるフィードバックに頼って暮らしていたんだろう!」と気づくのです。

そうなんです。私たちは目で見て、そこにカップがあるから手を伸ばす。手にちょっと当たっている感覚と目で見てそうなっていることからギュッと掴む、というようにして、特に意識もせずアクションを「制御」しています。……と考えると、ではロボットの場合はどうなるでしょうか? たとえばロボットの「目」からカップが写っている映像が入ってきても、人間が思う「カップ」とイコールではありません。単に映像にすぎず、そのままでは何の意味もない。それでもロボットに人のように行動させるには、ロボットくんも何であるかわからなくちゃいけなくて、次にこれができなくちゃいけなくて……といろいろ課題のあることが想像できるのではないでしょうか。

もともと「フィードバックとフィードフォワード」というのは、ロボットでは重要なタームのひとつ。だからこそ、イナムラ先生は、ロボット研究者として「なんて!」と驚くことになったわけなんですね。

ところで、ここからは私の感想なんですが、自分はこれまで、どうも「フィードバックはいいこと」のように思っていたフシがある。つまり、何らかの状況に対応して行動を起こす(フィードバック)のはわかるけれども、フィードフォワードというのは、ちょっと"向こう見ずな"行動なんじゃないか、という感覚。だけどひとは本来、このフィードバックとフィードフォワードという2つを組み合わせて行動を起こしているはずである──と、考えると、実は確実性が低そう見える「フィードフォワード」こそ、新しい可能性をもたらすものかもしれない、というように「フィードフォワード」の担当部分が見えてくるわけなんです。

というわけで、「フィードフォワードって、すごい!」という、私の感想でした。──イナムラ先生の驚きのほうは、ぜひ本書でご確認ください。

[ ロボットのおへそ SPECIAL ]
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