2011-03-09

話題のワトソン君、すごい人気。

情報爆発の成果報告会の招待講演、日本IBMの武田 浩一氏の「質問応答システムWatsonによるクイズ番組への挑戦」のレクチャーを拝聴。ウェブでもかなりの盛り上がりを見せていたIBMの人工知能・Watson君だが、会場も超満員。

そもそもはアメリカのクイズ番組で、他の(人間の)出演者と戦ってワトソン君が勝った、というのが話題の発端だが、そのクイズ番組というのが、たいへんな長寿番組で、1964年から制作されていて、現在も毎週月曜から金曜までずーっと放映されているのだそうだ。

6カテゴリー×5難易度の問題(難易度によって獲得賞金が変わる)に全問チャレンジして獲得賞金を競うわけだが、問題を選ぶと、文字が表示され、アナウンサーがそれを読み上げる。回答者は3人で、早押しで回答の権利を得るしくみ。

ところがこの問題というのがひっかけというか、一筋でないのが特徴なのだとのこと。確かに日本でもクイズ番組はこういう構造をしてるようなと思ったけれども、つまり──1の条件にあてはまるものは5つあるがそのうち2の条件で3番目にあたるのはどれか?──みたいな問題。またカテゴリーなるものも、政治、経済、スポーツ、芸術とかそういうものではなくて、かなりユニークなもの、人名であるとか、歌詞の中にでてくる固有名詞だとか、そういった新しい「カテゴリー」が次々に作られて問題に登場するのだそうだ。

そこで問題に臨むワトソン君だが、音声認識は搭載しておらず、質問は他の回答者と同時にテキストで与えられるとのこと。また、ネットにはつながっておらず、スタンドアローン──とはいっても背後に計算機が控えているのだそうだ。質問文の言語処理がひとつの要で、ここでは構文解析の重要性が再確認されたとのこと。

私、個人的には、ロボットがウィキペディアを検索して、人間からの命令の意味を調べて推測するといったアプローチが出てきたなと思っていたら、いつの間にかワトソン君が現れた……という感じだったが、やはり「オンライン上に質のいい情報があるのが決め手」と武田氏。「ウィキの貢献が大きい」とも。

ワトソン君の情報源はテキストデータで、質問文の解析以外は言語独立(何語でもよいつくり)になっているということだが、人工知能(AI)はチェスで対決したり、中国人の部屋を考えたりというのに代わって、このクイズ番組のように一般の人々が解答するような問題を競うというのが、ひとつのトレンドになっていきそうな感じはある。

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