2009-01-02
理科の授業で覚えていること。
日本には年賀状という習慣があって、古い友達や小中高校生時代の恩師の方の消息がわかったりする。それで突然、昔むかしの授業の一コマを思い出した。
いくつかあるような気がするが、記憶にある授業というのはどれも、すでにかつて、といっても実際の体験からはだいぶ時が経ってから何度か思い出したことのある授業であって、それを何度も思い出しているうちに、(それを口に出さなくても)いつのまにか自分の中で定着している記憶だったりする。
中でも頻出の記憶であるこれ──中学1年の時の理科の授業だ。担任の先生が理科、なかでも生物、そのなかでも植物が専門で、ある日授業ではOHPかなにかで、黒板の前に白いスクリーンを垂らして、スライドを映していた。画像は、花粉とめしべの顕微鏡写真だ。
授業の趣旨は、さまざまな花粉とめしべのかたちを見せて、植物の名前を一致させ、また花粉のほうへめしべが寄り集まっている様子を見せることにあった。画像はすべてモノクロだった。ふむふむ。とみんなで見ていたわけだ。
と、私の記憶に鮮やかなのは、最後の一枚だ。
それは一見、他の画像と同じように中央に縦に一本めしべがあって、それをとりまくように黒く花粉が集まってきている。ところが、めしべのすぐそばには、まるで“潮が引いたように”まっ白な空間が広がっているのだ。その白さ。
めしべに、違う植物の花粉をふりかけると、めしべの周りにはくるが着床しない。種を守り、継承していくためには不都合なので、植物にそのようなしくみが備わっているのだ、と先生は言った。
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