2011-01-26

用例から見ると「おられますか?」はOK

(昨日のつづき)

というわけで、NHK放送文化研究所/ことばQ&A「おられます」の記述にもあるように、

現在では必ずしも不適切ではない、と言われています。

というのが、「○○さんは、おられますか?」という用法の現在であるらしい。

ただ同時に、「おる」が本来謙譲語であった(出典同:NHK放送文化研究所)というのも、たとえば新潮国語辞典(現代語・古語、平成元年・6刷)によれば、

おる(居る)
自分を卑下する語。また他人の動作を卑めののしる語。


にも見ることができる。ところで、これには例文がついており、その出典が狂言なのだが、そうそう、狂言ってほら、よく「おる」の入った台詞があったような。

一方、古語辞典にあたると「おる」「をる」「いる」「ゐる」などとあって、「在」なのか「居」なのか……というわけで、本来謙譲語の「おる」が、上記の「居る」と一致しているのかどうか……となると、確定するのはこれまた大変です。

ただもっと言うと、どんなに状況証拠を集めても、確定の太鼓判を押すのが人間だとすると、実証といっても、「そう思う」もしくは一段上がって、言葉の「専門家がそう思う」というところでとまってしまうことを考えると、USAGEのことであんまり悩んでも……と私は思います。

そういうわけで、使用に関するいちおうの指針が出た! と考え、この話はおしまい!
御意見、コメント、大歓迎いたします。(NHKつながりで「にほんごをあそぼ」のこころで、ぜひお願いいたします。。)

3 件のコメント:

holy_grail さんのコメント...

遅ればせながら、論考ありがとうございます。表現の(語法的な)適切/不適切の根拠として「そう感じるから」という反応もあるかなとは思いつつ、意見が対立し、かつ、対立を解消すべきであるときには、論理を持ち出すしかないと思われ、ついコメントしてしまいました。自分は使わないが、人が使うのはOKとか、許容のしかたもいろいろでしょうか。

それよりも! わたし、以前から、とあるブログをRSS登録しており、そのブログを書かれているのはギターやトランペットを演奏される方なのですが、最近のエントリーを読んでいて、そのブログ主さんは、もしかして? だって、そのブログのタイトルには苗字が……?!

holy_grail さんのコメント...

と思ったら、ここのブログの2011-02-08の記事に、はっきりと書かれていたことに今気づきました。独立して自分が関心をもった二つのブログがそのようなかたちで関連していたことにビックリ。

失礼しました。

rue ikeya さんのコメント...

いろいろ読んでいただき、ありがとうございます。夫のブログ「ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版」は、元々は週刊のメルマガだったので、現在は「ブログ版」というブログになっている次第。

どこかにまとめて関連ブログであるというふうに置くとよいのですが、これも夏頃までに、行いたいと思っております。

ぜひまたお立ち寄りください。