2010-02-18

Torvaldsさんの動画と科学技術者のスライド

トーバルズさんの自伝『それがぼくには楽しかったから』を読んだあと、YoutubeでいくつかLinus Torvaldsの動画を見た。Linuxのユーザカンファランスでのスピーチなどを見ながら、──スライドは前日に、もう手遅れという状態になってから用意しはじめる、などと書いてあったことなどを思い出す。思い出すと、ほんとにそんな感じがする。もう手遅れという状態は、同時に、もう他の人が手助けできない段階、ということでもある。

ゴア元副大統領のドキュメンタリー映画『不都合な真実(an inconvinient truth)』では、手元にあるアップルのリモコンを使ってスライドをめくりながらトークを行う姿が何度も映っている。そのデータを自分でコンピュータで準備しているような様子も描かれるが、これなどはまだ、他の人がちょっとした下調べをしたり、グラフを作っておいたりといったことができそうな感じがする。そういうバッファが備わっている。

私の印象では、科学者の場合、だいたいこの「他の人が手出しできない段階」になってからしか、明日のスライドは決して準備されない。最新のデータがいいに決まっている、と本人が思っていることとももちろん関係ある。だがそれが最大の理由というわけじゃない。私が思うには、それが、やらなければならないことのリストの最後にあるからである。そうとしか、考えられない。

この自伝は、共著という形式になっている。そんなTorvaldsさんと、そんなTorvaldsさんを知る機会をくれたDavid Diamond氏に、心底どうもありがとう、と思える1冊であります。

Just for Fun: The Story of an Accidental Revolutionary
Linus Torvalds, David Diamond
Harper Paperbacks

このアイテムの詳細を見る

0 件のコメント: