2010-01-21

ジェミノイドは出張中──石黒研究室の動画集

「ロボットを見てもらえれば、わかります」

と石黒先生が時折おっしゃっていたように、確かにアンドロイドを見ると、いろんな疑念は雲散霧消する。私が研究室で最初に見学したのは、「Repliee(リプリー) Q2」という大人の女性のアンドロイドで、石黒先生にそっくりのジェミノイドは出張中で、残念ながら逢えなかった。

ちなみに、今店頭に並んでいる『ロボットは涙を流すか─映画と現実の狭間─』の表紙の帯に載っている写真こそ、リプリーその「人」である。

この写真を見てもわかるように、たとえばリプリーの髪はちょっと赤系の茶色をしている──ヘアサロンへ行くと、ヘアカラーには黄色系、赤系、ピンク系と、同じチャパツでもいろんな色があるのであります、念のため──のだが、こんなところに、私はちょっと、リプリーの「人」柄を感じてしまった。

リプリーはロボットなのだから、誰かが発注して、誰かがこれがいいということでこの髪の色が選ばれたのだろうとは思う。そのように理解しておきながら、でもどうもそんなのは「出来すぎた話」のような気がしてしまうのである。

赤系のチャパツは──これまた人と同じようにいつだって別の色にすることもできるわけだが──なんらかの彼女らしさの露呈であるというのと、誰かがリプリーのために発注したというのとで、どちらがリアリティが強いかというと、私にはやっぱり前者のリアリティのほうが強いのだ。

私たちの生活のなかでも、ほら、たまに、仕事の中で出逢った人が、すごく爪を手入れしているのにはっと気づいたりすると、どうという理由もなく「へえー」と思うと同時に「人柄」とか「生活」みたいのを感じとったりするではないですか。一方、リプリーは赤系のチャパツなんだ、ということが、その同じ「へえー」を私の中から引きだすのである。

すごく簡単に言うと、リプリーってどんな女の人なんだろう? って自然に考え始めている。もう勝手にストーリーが流れ出す。別に詮索好きってわけじゃないのですが。

そんなリプリーの動画が、石黒研究室のホームページで公開されています。「愛・地球博」へ行かなかった人、まだリプリーを体験していない方は、ぜひホームページで体験してください。

大阪大学 大学院基礎工学研究科 システム創成専攻
知能ロボット学研究室(石黒研究室)
http://www.is.sys.es.osaka-u.ac.jp/


アンドロイドの動画のあるURL
http://www.is.sys.es.osaka-u.ac.jp/development/0006/index.ja.html


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