仕事もそうだけど、遊びもね、というCMがあったような(似て非なるものだったような)ことを思い出したのだけれども、子供は昨今、ほんとうにあらゆる「画面」という「画面」に支配されていて、困ったものだ。その目から画面を引きはがしたいという感じ。関係ないかもしれないが、眼鏡の子も多い。
子供の場合はそんな状況でありますが、で、コンピュータがあるってことは、その性能がいろんな面から言って上がるということは、世の中(コンピュータがない場合と異なって)どーゆー方向へ行くのでしょうか? というそこんところを考えたほうがいい。──このことはもちろん、これまでもいろいろと言い方を変えて言われてきたわけですが、この本は、それをしっかりと数学を基に、誰でもわかるようにステップ・バイ・ステップのペースを崩さず、納得のいく材料をきちんと揃えて説明してくれます。
と、このようなテーマではありますが、新井教授の本がいつもそうであるように、「役立つ」という要素が備わっているのも大事なポイントかと思います。
役立つの筆頭は「ウケウリ」ですが、この本を読んでコンピュータに仕事を奪われるらしい、とか、受け売ってもしょうがない。そうではなくて、どういう計算がどのように行われそうだというケーススタディをメモっておくのがおすすめであります。
余談ですが、はるか前世紀末、私がまだ会社員だったころ、とある「システムを導入したい」という上司に、「それっていったいどうしたらコンピュータができると思うんですか?」と訊いたことを突然私は思い出しました。「それは向こう(外注先の技術者)が考えるんだよ」と語気を強めて上司は言い、私は「はあ(できないよ)」と半ば言い、半ば思ったのでした。
と、そういう「ネコ」でもわかる(私のことです)時代は終わり、できるできないをきちんと数学的に区別して理解したら、これは受け売れます。つまり本当に役に立つ。というのも、ウケウリは一般にコピーですが、この場合はツールという違いがあるから。
というふうに思いました。すてきな表紙で楽しかったです。
コンピュータが仕事を奪う | |
新井 紀子 | |
日本経済新聞出版社 |
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